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「公務員でも障害年金はもらえるのですか?」
相談室でよくいただく質問です。
結論からいえば、公務員も条件を満たせば障害年金を受給できます。
ただし、民間会社員や自営業の方と比べると、手続きの流れや窓口に違いがあります。

今回は、共済組合加入者(国家公務員・地方公務員・私学教職員など)が障害年金を請求する場合に知っておきたいポイントを解説します。

2015年から厚生年金と共済年金の制度がひとつに

かつて、公務員は「共済年金」という独自制度に加入していました。
しかし今は、2015年10月の制度改正により厚生年金に一本化されています。
そのため現在は、民間の会社員も公務員も同じ「厚生年金」に加入しています。
では「制度が同じなら、請求手続きも同じなのか?」といえば、そうではありません。
窓口業務を共済組合が担っているため、申請の進め方に微妙な違いがあります。

公務員等の障害年金手続きの違い

1. 申請窓口は共済組合

共済組合の場合、申請窓口が違います。

 民間会社員の場合 → 最寄りの年金事務所
 公務員の場合   → 所属する共済組合(国家公務員共済・各自治体の地方公務員共済・私学共済など)

診断書や申立書を含めた申請書類は、共済組合に提出することになります。

2. 年金記録の確認は共済組合でも可能

公務員の年金加入記録は原則共済組合が持っています。
日本年金機構にも情報は共有されますが、共済組合のほうが詳細な記録を把握しているケースもあります
公立学校共済組合や警察共済組合などではマイナポータルを利用した記録確認も可能です。

3. 共済組合独自の書式や請求方法がある場合も

診断書や病歴・就労状況等申立書は原則厚生年金と同一様式ですが、共済組合ごとに独自様式を求められるケースもあります。
国家公務員共済の場合は省庁により、地方公務員共済の場合は市区町村によりルールが違う場合もあります。
また、事前に診断書だけを提出し障害の程度を確認した上で請求手続きに進むなど、手続きの流れそのものが異なる場合もあります。
つまり、公務員等で障害年金請求を考える場合は、まずご自身が加入している共済年金に連絡し、支給に必要な書類や手続きの流れを確認することが必要です。
必要書類もその時共済組合から取り寄せれば安心です。

初診日の扱いと注意点

障害年金請求では「初診日」が非常に重要です。
初診日に公務員等だったかどうかで、窓口が変わるからです。

 公務員在職中に初診      →厚生年金として共済組合で手続き
 退職して一般企業勤務中に初診 →厚生年金として日本年金機構で手続き
 退職後、国民年金加入中に初診 →国民年金として日本年金機構で手続き

現在が「公務員」であっても、初診日の状況によって申請窓口が異なるため、注意が必要です。

まとめ

公務員・共済組合加入者の障害年金手続きは、制度上は厚生年金に統一されているものの、実務では依然として共済独自の流れが残っています。

・窓口は共済組合
・初診日が公務員在職中かどうかでルートが変わる

この点を理解せずに進めると、手続きがスムーズに進められません。
もしご自身やご家族が該当する可能性がある場合は、早めに記録の確認や窓口への相談を始めることをおすすめします。
また、経験豊富な社会保険労務士に依頼することで、スムーズに受給へつなぐことができます。