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「障害年金って、認められたら一生もらえるんですか?」
これは相談の場でよくいただく質問のひとつです。
実は、障害年金には「ずっともらえる場合」と「定期的な更新が必要な場合」があります。
今回は障害年金の受給期間や更新手続き、そして支給が止まるケースなど、押さえておきたいポイントをまとめました。

永久認定と有期認定の違いとは?

障害年金は、受給権が決定されたときに「認定期間」が設定されます。
大きく分けて以下の2種類があります。

永久認定(=更新なし)

原則として、その後の診断書提出や更新手続きが不要となる認定です。
これ以上の状態の改善が見込めないと判断された場合に限って認められるため、令和5年度の「障害年金業務統計」によると全体の1割弱にとどまります。
 代表的な例:切断などの肢体の欠損、人工関節置換術後の状態、失明などの重度視覚障害など

有期認定(=更新あり)

障害の状態に改善の可能性があると判断された場合で、定期的に見直し(更新)が行われます。
更新の際には「障害状態確認届(診断書)」の提出が求められます。
 代表的な例:うつ病や統合失調症などの精神障害、糖尿病による合併症が進行中の場合など
更新のタイミングは、1年~5年の間でその人の障害状態により個別に定められます。
令和5年度の「障害年金業務統計」では、障害年金が認められた人のうち、9割以上が有期認定で、更新手続きが必要となっています。

障害年金の支給が終わるのはどんな時?

更新時の診断書により、障害の状態が軽快したと判断されると「支給停止」となることがあります。

障害の状態が障害等級に当てはまらない程度になった場合や、回復し障害状態と認められない場合は、支給が終了(支給停止)となります。
ただし、障害年金をもらう権利がなくなるわけではありません。
その後ふたたび障害の状態が悪化し障害等級に該当した場合は、65歳未満等の条件を満たせば、請求が可能です。

更新で障害年金が減額されることもある

更新時の診断書により、障害の状態は軽快したが、まだ障害等級には該当すると判断された場合は、「等級変更(減額)」されることがあります。
障害厚生年金2級の方が3級に、障害基礎・厚生年金1級の方が2級に変更になり、支給は続きますが、障害年金が減額されます。
逆に、障害の状態が増悪している場合は、増額もあり得ます。

事務的な理由で一時的に支給が止まることも

障害年金は更新手続き時、更新用の診断書(障害状態確認届)を期限までに提出しなかった場合でも一時的に支給停止となる場合があります。
提出忘れなどの事務的な理由でも止まってしまうことがあるということです。
この場合は、提出すれば原則さかのぼって支給されますが、届出の案内が届いたら早めに対応することが大切です。

障害年金は大変な時に助けてくれる制度

障害年金は、必ずしも「一生もらえる」とは限りません。
ですが、障害の状態が継続し、必要な手続きがきちんと行われていれば、長期間受給することが可能です。

障害の状態が重く大変な時には、障害年金が生活や心の重要な支えになります。
更新があるという現実はふまえつつ、まずは障害年金の請求することを検討してみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士にご相談いただければ、受給決定時、更新についてもご案内いたします。