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病気やケガで働けなくなり退職を余儀なくされた場合、失業給付金(雇用保険の基本手当)と障害年金の両方を受給できるのか気になる方も多いでしょう。
これらの制度はそれぞれ異なる目的があり、同時に受給ができるかどうかは条件によって変わります。
今回はそれぞれの制度の目的と併給の可否、注意点について詳しく解説します。

失業給付金とは?

失業給付金(雇用保険の基本手当)は、働く意思と能力があるのにもかかわらず、離職した労働者が再就職するまでの間、一定の生活保障を行うことを目的とした制度です。
具体的にはハローワークに求職の申し込みをし、いつでも働ける状態にあると認められた場合に、手続きを経て支給されます。
つまり『働く意思があり、就労できる健康状態にあること』が前提となります。

障害年金とは?

障害年金は、病気やケガによって日常生活や就労に支障がある人に対して、長期的な所得保障を行うことを目的とした制度です。
障害等級や障害の程度によって受給できる金額は異なりますが、日常生活や労働に制限がある状態が条件になります。
つまり『障害によって働くことが困難、または不可能であること』が前提条件になります。

制度の違いは?

2つの制度は前提条件が異なります。
・失業給付金 → 働ける人を支援する制度
・障害年金  → 働けない(働くことに制限がある)人を支援する制度
このため、原則的に2つの制度を同時に受給することは矛盾が生じます。しかし例外もありますので解説していきます。

併給はできるの?

障害の程度が軽く就労が可能な障害年金受給者であれば、失業給付を受け取ることは可能です。
例えば人工透析が必要(障害等級2級)、人工関節に置換している(障害等級3級)など、障害年金の受給条件に当てはまり、障害年金を受給していても働くことができる健康状態であれば、失業給付を受け取ることができます。

一方で、障害の程度が重く日常生活や就労など全ての行動に周囲の支援が必要な場合などは、就労できる状態とはみなされず、失業給付金は受け取ることができない可能性が高いです。

注意すべき点は?

障害年金を受給していることを申告せず、失業給付を受け取ると『働けない状態にあるのに受給をしていた』とみなされ、不正受給と判断される可能性があります。
不正受給と判断された場合には給付の返還や延滞金の請求を受けることもあります。
障害年金を受給している場合は、必ずハローワークに正直に申告し、就労の可能性の有無について正確な情報を伝えることが重要です。
また障害年金の審査においては、失業給付を受給していることは『働くことができるほど、身体の状態が良い』と判断され、審査に影響する可能性があります。

まとめ

失業給付金と障害年金の同時受給は条件によって可能になりますが、個々の状況により手続きの際には注意が必要です。
特に精神疾患や内部疾患の場合は、失業給付の受給が障害年金の審査に影響する可能性が大きくあります。
病気やケガで退職を余儀なくされた方にとって、これらの制度は重要な生活の支えとなります。
主治医や社会保険労務士と相談の上、慎重に判断することをお勧めします。