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障害年金は、病気やけがによって日常生活やお仕事などに制限をうけ、人の手助けが必要になったり、満足に働けなくなってしまった場合に、現役世代の方も含めて、受け取ることができる年金です。

ただし、誰でももらえるわけではありません。
いくつかの条件をクリアしていることが必要です。

では、どんなケースだと「もらえない」のでしょうか。

「もらえない」には2つのパターンがあります。
「そもそも障害年金の請求ができない」ケースと、「請求はできても、障害年金が支給決定される可能性が低い」ケースです。

今回は、「そもそも障害年金の請求ができない」ケースについて、今のうちからできることも含め、お伝えします。

「そもそも障害年金の請求ができない」ケースは、以下の4つです。

保険料納付要件を満たしていない

障害年金は、「保険」です。

「保険」とは、皆でお金(保険料)を出し合い、困ったときに備える制度です。

それぞれが負担することで、病気やけがで自分で身の回りの事が出来ない、働けない、などという事態になったとき、重い負担が個人ひとりにかかることを防ぐことができます。

そういった制度なので、そもそも、保険料を支払っていなければ、そのメリットがうけられないのです。

では、障害年金をもらうためには、どのくらいの保険料を負担していればよいのでしょうか?

保険料の納付期間が一番短い条件は、65歳未満の場合で、原因となる病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを初診日といいます)の段階で
「初診日の前日が属する月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと」
です。

つまり、極端にいえば、その1年間、国民年金保険料か厚生年金保険料を支払っていれば、対象となることができます。
ただし、この条件は、現在のところ令和8年3月31日までと、期限のある特例です。

また、保険料の納付要件を見るのは「初診日の前日」である点、注意が必要です。
これは、病気やけがの診断を受けた後に、それまで納付していなかった保険料をさかのぼって払い、障害年金をもらおうとするのを防ぐためのルールです。
保険をもらうような事態になる前から保険料を払っていてこそ、守ってもらえるのが「保険」という仕組みなのです。

保険料の納付期間についての基本のルールは、
初診日の前日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること
です。

「3分の2も保険料を払っていないともらえないのか」と思うところですが、この3分の2には「保険料免除期間」も入ります。
「保険料免除期間」というのは、収入が一定よりも低い場合に、国民年金保険料の支払を免除してくれる制度があり、その免除されている期間をさします。

つまり、「収入が低くて、国民年金保険料を払う余裕なんてない」という人も、市区町村に相談して、保険料免除の手続きができていれば、今後初めて病院等を受診する傷病等について、障害年金を申請できる可能性があるということです。

国民年金保険料を支払わずにためておくのは、もっとも避けるべきことです。

生活が苦しく、国民年金保険料が支払えない場合は、免除の手続きが受けられないか、市区町村の窓口に相談してみましょう。

初診日を裏付ける資料がない

初診日とは、対象となる病気やけがの確定診断を受けた日ではなく、その病気やけがにかかわって初めて病院を訪れた日を指します。

この「かかわって」が複雑な場合があり、初診日の裏付けがとれない場合があるのです。

たとえば、糖尿病の持病がある人が、目に見えにくさの異常を感じて、眼科を受診したとします。
その見えにくさが、糖尿病に原因がある糖尿病性網膜症によるものだった場合、初診日は、その眼科を受診した日ではありません

視力障害の原因は、おおもとをたどれば、「糖尿病」です。
したがって、初診日は、眼科を受診した日ではなく、「糖尿病の初診」までさかのぼり、「糖尿病について初めて医師等の診療を受けた日」ということになるのです。
糖尿病について診療したのが内科であれば、内科に初診日の確認をとる必要があります。

このように、「初診日」は一般の認識とはかなり違うため、特定には専門的知識が必要です。

一方で、「1」の保険料納付要件を確認するのは、その「初診日」がキーになります。

前の例でいえば、糖尿病性網膜症の診断書は眼科にお願いすることになりますが、初診は内科となるため、内科に「受診状況等証明書」という糖尿病の初診日を証明してもらう書類を作成してもらう必要があります。

ですが、初診がかなり昔になる場合は、初診の病院がもう資料をもっていないケースがあります。
法律では、カルテの保管期限は5年となっているためです。

また、その病院がすでに廃業している場合など、「受診状況等証明書」をお願いできないこともあります。

こういった場合は、「受診状況等証明書」ではない他の資料、
・障害年金を請求する時から5年以上前の日付のカルテから読み取れる初診日
・初診日についての第三者(家族、友人、民生委員など)証明
などで認められる可能性があります。

ですが、そういった資料も用意できない場合は、請求が難しいということになります。

20歳未満で会社員(厚生年金加入)ではない

20歳未満のかたは、原則、障害年金が請求できません。
それは、国民年金に加入するのは20歳からとなっているためです。
法律上の成人年齢は18歳ですが、年金制度における加入年齢は20歳のままです。
年金制度に加入していないので、結果、障害年金も請求できないということになります。

ただし、20歳になれば、「20歳前傷病」として請求が可能になります。
また、15歳以上で企業に勤務し、厚生年金に加入すれば、年金制度に加入していることになるので、請求することが可能です。

65歳以上の方

65歳以上のかたは、原則国民年金からはずれ、加入していない状態になること、また、老齢年金がもらえる年齢であることから、障害年金は原則として対象外となり、請求はできません。

ただし、65歳より前に初診日がある場合など、ごく限られた場合は請求できる場合があります。

65歳以上でどうしても障害年金を請求したい場合は、対象となるかどうか、まず専門家に相談しましょう。