はじめに
「障害年金の受給が決まりましたが、国民年金保険の支払は今後どのようになりますか?」というお問い合わせを多くいただいております。
障害基礎年金または障害厚生年金の1級・2級に認定されると、国民年金保険料は「法定免除」の対象となります。これは国の制度により、一定の条件を満たす方の国民年金保険料が全額免除される仕組みです。
しかし、障害年金の受給に伴う保険料免除には、手続きや還付の取扱い、将来の年金への影響など注意すべき点もあります。今回は、障害年金受給者の国民年金保険料について分かりやすく解説します。
障害年金1・2級になると国民年金保険料は「法定免除」
障害基礎年金または障害厚生年金の1級または2級の受給権が発生すると、国民年金保険料は「法定免除(全額免除)」の対象となります。
免除が適用されるのは、
認定された日を含む月の前月分の保険料からです。
例えば、令和8年3月に障害年金の認定がされた場合、
令和8年2月分の国民年金保険料から免除となります。
ただし、この法定免除は自動で適用されるわけではありません。
そのため、市区町村に
「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出する必要があります。
法定免除について、より詳しい内容を知りたい方は、こちらをご覧ください。
遡及認定された場合の保険料還付
障害年金は、審査の結果によって過去にさかのぼって認定されることがあります。
このような場合、法定免除の対象となる期間にすでに納めていた国民年金保険料については、還付を受けることが可能です。
例えば、障害年金の認定日が2年前であった場合、
その認定日を含む月の前月以降に納めていた保険料は、還付の対象となる可能性があります。
ただし、還付を受けた場合、その期間は「保険料納付済期間」から「保険料免除期間」として扱われることになります。
また、保険料を前納していた場合でも、障害年金2級以上の受給権を取得した後の期間については、制度改正により、免除対象となる月以降の保険料について還付を受けることが可能となっています。
法定免除を受けると将来の老齢年金が減る可能性
法定免除によって保険料の還付は一見メリットのように思えますが、注意点もあります。
国民年金では
・保険料納付済期間 → 満額で年金額に反映
・保険料免除期間 → 満額にはならない
という違いがあります。
そのため、保険料の還付を受けると、その期間は法定免除期間として扱われるため、将来受給する老齢基礎年金の額が少し低くなる可能性があります。
特に将来的に症状が改善する可能性がある場合などでは、還付を受けるかどうか慎重に検討することが大切です。
なお、免除期間となった保険料については、追納制度を利用することができます。
追納を行うことで、免除期間を納付済期間として扱うことができ、将来の老齢基礎年金額を満額に近づけることが可能です。追納できるのは、追納が承認された月からさかのぼって10年以内の免除期間となります。
就職や等級変更があった場合の取扱い
障害年金と法定免除の関係では、等級変更にも注意が必要です。
まず、障害年金を最初から3級で受給している場合は、法定免除の対象にはなりません。
一方で、いったん1級または2級に認定され、その後3級になった場合は、法定免除は継続されます。
1級または2級から等級非該当となった場合でも、3年間は法定免除が継続する仕組みとなっています。
また、厚生年金に加入したり、配偶者の扶養に入って第3号被保険者になった場合には、国民年金の第1号被保険者ではなくなるため、法定免除は解除されます。その後、退職などにより再び第1号被保険者となった場合には、改めて法定免除の手続きを行う必要があります。
まとめ
障害年金1級・2級に認定されると、国民年金保険料は法定免除となり、過去に納付した保険料については還付を受けられる場合があります。
経済的に不安を抱えている場合は活用を検討するべきでしょう。
ただし、還付を受けるとその期間は免除期間として扱われるため、将来の老齢基礎年金額に影響する可能性があります。
特に、障害年金が期限付き認定などによって将来的に状況が変わる可能性がある場合には、還付を受けるかどうか慎重に判断することが重要です。
制度の内容は複雑な部分も多いため、不明な点がある場合は専門家に相談しながら手続きを進めることをおすすめします。
