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障害年金の受給は、『永久認定』と『有期認定』の2種類があります。このうち、有期認定の場合には、1~5年ごとに更新が必要です。

障害年金の更新では、主治医に更新時の障害状態を『障害状態確認届』の診断書欄に記入してもらい提出、審査のうえ受給継続の有無や障害の等級が決まります。

更新によって受給を継続できるか不安、という方も多いでしょう。今回は、障害年金の更新時の注意点を詳しく解説していきます。

障害年金の更新は厳しい?

障害年金の更新は、障害状態確認届を提出することで、審査が行われます。

障害状態確認届には提出期限があり、提出しなければ年金の支給が停止してしまいます。認定時と障害の状態に変化がなくても、提出が必要です。

ここでは、障害年金の更新は本当に厳しいのか、詳しく解説します。

更新時97.8%が継続または増額

それでは、実際にどのくらいの人が支給継続できているのか、データで見ていきましょう。

厚生労働省が令和2年9月に発表した「障害年金業務統計」では、約96%以上の人が障害年金の更新時に、前回と同じ等級で継続となっています。

こちらのデータでは、ほとんどの人が問題なく更新できていることがわかります。

障害年金業務統計

準備を怠ると級落ちや支給停止になるケースも

障害年金の更新では、多くの人が問題なく更新できているということがわかりました。しかし、実際に更新のタイミングで支給停止になったり、障害等級が下がり減額支給となったりする場合もあります。

認定に必要な書類は期限までに提出しよう

更新の手続きは、初回申請と同様に『障害状態確認届』という書類で審査がされます。こちらの書類は、個人の氏名・住所・基礎年金番号といった情報と診断書が必要です。

障害状態確認届は、誕生日の前月から当月に届きますが、提出期限が誕生月の末日までです。この期限に間に合わない場合、年金の支給が停止する可能性があります。

障害状態確認届は、受診している医療機関に作成を依頼し、主治医に現状の症状を反映した診断書を作成してもらいます。医療機関によっては書類の作成に時間がかかる場合があるため、お手元に更新の書類が届いたらすぐに準備を始めましょう。

万が一書類が間に合わず、提出期限までに障害状態確認届を提出できなくても、書類を出すことを諦めず、遅れても提出しましょう。提出した書類は審査が行われ、障害の状態が障害等級に引き続き該当する場合は、停止した期間を遡って受給することができます。

認定時と更新時の障害状態の比較がポイント

更新書類の提出期限が近くなると、「主治医に作成してもらった書類を確認せずそのまま提出してしまい、認定時と自分の症状に変化がないのに減額や支給停止となってしまった」という話をよく伺います。

この場合、主治医に作成してもらった診断書に、現在の症状が正確に反映されていないケースが多いです。医療機関から診断書を受け取った際には、必ず認定時の診断書と比較し、現在の症状にあった診断書となっているのか確認しましょう。

また障害年金の更新は、有期認定の方のみとなります。

永久認定となった場合、更新はありません。自分の認定がどちらかわからない場合は、受給が決定した際に届いた年金証書を確認し、次回診断書提出年月に日付の記載があるか確認してください。

障害年金の更新で級落ちや支給停止になる要因

「認定時と症状に変化がないのに、更新で支給停止になってしまった!」または「障害等級が下がり減額支給になってしまった!」という場合には、必ず要因があります。どのようなことが、支給停止や減額支給につながるのか解説します。

就職をした

認定時には就労していなかった・休職中だったが、少し症状が緩和し長く休職していた職場に復職するということもあるでしょう。この場合、就労ができるからと即座に支給停止にはなりません。

たとえば、働く時間が短い・障害者雇用で働いているなど、就労にもさまざまな雇用形態があります。働くうえで周囲の支援が必要になっている場合は、等級に関係なく更新できる可能性があるのです。

担当医が変わった

無事に更新されるためには、定期的に受診し、その都度自分の症状について主治医に伝えることが大切です。主治医は診察室で症状を見て障害の状態を判断するため、定期的に受診し、日常生活中で大変なこと、出来ないとこを具体的に話しておきましょう。

診察時間内で伝えることが難しい場合は、用意したメモを渡すことで、症状を詳細に把握してもらえる可能性があります。

処方薬量が大幅に減った

担当医が変更になった場合、治療の方針が変わり処方薬量が減ることがあります。この場合、自分の症状が回復し減薬となっているわけではなく、治療方針の変更ですので、減薬の理由を必ず診断書に記載してもらいましょう。

障害年金を無事更新するためのポイント

障害年金の更新は書類のみで行うため、審査の際に自分の現在の症状が正確に伝わることが一番大切です。認定時にくらべて障害状態悪化しているなど変化がある場合は、認定時の診断書と見比べ、診断書の内容が変化しているか確認してから提出しましょう。

また、主治医が変更になった場合や、転院している場合は、認定時の症状や認定時からの障害状態の変化も伝えることが必要です。

実情が反映された診断書を書いてもらう

更新の審査は、初回同様の基準での審査になります。日常生活状況への影響など、総合的な判断となりますが、初回の申請と違い、診断書の他に申立書で日常生活の状況を詳細に伝えることができません。

主治医に正確に症状を把握してもらう、日常生活の困りごとについて話しておくことで、自分の症状が反映された診断書が作成されます。定期的な受診と、その時々の症状について主治医に伝えておきましょう。

職場の人の意見書をつける

障害認定時には就労していない、または休職中だったけれど、更新時に就労している場合は、障害状態がよくなったと判断され、障害等級が下がることもあります。

しかし、実際には職場でさまざまな支援がされ、傷病について職場での理解が必要なケースもあるでしょう。そのような場合は、職場での状態を知ってもらうための意見書を一緒に提出することで、必要な年金受給につながります。

ただし、意見書には職場での具体的な支援の内容を書いてもらう必要があるため、注意してください。

専門家の手を借りる

減額支給・支給停止が心配な方は、社会保険労務士に更新手続きを依頼することをおすすめします。

専門家の視点から、医師への症状の伝え方に関するアドバイスを受けられますし、万が一支給停止になってしまってからの手続きについても、サポートしてもらえるというメリットがあります。

障害年金の更新に当たってのポイントは、以下のページでも詳しく紹介しています。あわせてご参照ください。

<内部リンク|(障害年金 更新)>

障害年金の更新が厳しいと感じたら専門家に相談しよう

「障害年金の更新は難しいのか」「更新のポイントはなにか」について、詳しく解説しました。

障害年金の更新は、現在の自分の症状を主治医に把握してもらい、正確に反映された診断書を提出することが重要です。

医療機関での診察時に思うように自分の症状を主治医に伝えられない、自分の症状とはかけ離れた症状の診断書ができてしまったなど、更新に関するご不安がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。